作品3 1992(平成4)年・北大アニメーション研究会製作作品

見てござる


(c)copyright: Hokkaido Univ. Animation Lab. 1992

〜作品概要〜
童謡「見てござる」の歌詞と曲をもとに
山村の日常風景が展開していきます。
〜製作スタッフ〜
〜作品解説〜
拙作「般若湯」で墨絵を使った私は、
この技術でもうすこし完成度の高い作品ができないか、と考え、
個人的にすきだった「みんなのうた」のような音楽アニメーションをつくってみようと
企画したのが、童謡「見てござる」(山下武夫作詞、海沼実作曲)を元に作画演出した本作「見てござる」です。
ですから、前作とは違い、半紙も少し上質なものを使用し、カットによっては
その紙厚を変えたものを使用するなどしています。
またわざと滲みを持たせた動画にするために、わざと水を含ませた半紙に墨絵を描いたり、
ブック動画も、ぼかした感じを出すために、紙を水で濡らして破いて製作したり、
ZC1000の機能を活用するために、コマドリ逆回転撮影を利用したり、
サークル部室にあるマルチ撮影台を活用するために、ピン送りカットを組み込んだりと、
見た目だけは高度っぽい技を使ったりもしています。見た目だけはね。
また、本作品は動画が半紙ということもあって、撮影時に動画を固定する方法として、
タップ穴固定法ではなく、角あわせ固定法を採用しています。

この作品も例にもれず、突貫作業で製作されました。
私の動画作成が撮影日に間に合わなかったため、恐ろしいことに本作は、
作画と撮影を同時並行で行うという荒技で製作されています。
すなわち、

 私が作画→作画終了したカットから順次撮影伝票作成→撮影スタッフ(隣室で待機)が撮影

という、ベルトコンベア的作業。さらに本作は音楽とタイミングをあわせるという性質から、
ズームアウトもコマ単位で制御しなくてはならず、
撮影に携わってくださったスタッフの方々には頭が下がる思いです。

ということもあって、私が今まで監督した中では、もっとも多くのスタッフの方々に手伝っていただいた作品です。
どうもありがとう〜

余談ですが、本作の余りフィルムを使ってHAL最短作品「空手家」が製作されました(笑)。
この作品もまた、「見てござる」撮影日に作業中に着想、作画された突貫作品です。

ところで、本作は、1997年の北大学校祭での上映会において、映写機トラブルのため、
フィルム最後の一部分が損壊してしまいました。1秒足らずの部分ではありますが…
さらに本作はテレシネもしていなかったことから、完全版は既にこの世からなくなっていることになります。
合掌。
〜主な外部上映履歴〜
作品画像の一部

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