作品6 1996(平成8)年・鐘童幻燈舎 製作作品

お地蔵さん 街に行く


(c)copyright: 鐘童幻燈舎 1996

〜作品概要〜
ある秋の日、山からぶらりと街にでてきたお地蔵さん、
勝手の違う街の中、あちこちでひと悶着。
全5話からなるショートショートアニメ。
〜製作スタッフ〜
〜作品解説〜
いままでに見たことの無いような画面を目指した本作品。
ジャンル的には「ペーパー+ピクチュレーション」に入るのかしら。
感想など聞くと、なかなかこの技法が見破れない方も多いみたいなので
ちょっとここで解説をば。

この作品は、基本的にはペーパーアニメーションです。
そして背景に、実際に私が街などで撮影した、風景写真を利用しているのです。
で、風景写真の上にお地蔵さんの動画を載せる時に、
お地蔵さんのキャラクターの周囲におおよそ正方形になるように余白をとり、
その余白に、本来そこに写っているはずだが、余白が重なっているために見えない背景部分を、
丸ペンと色鉛筆で書き込んでいったのです。
決して多重撮りしているわけじゃないんですよ。

こうした作品の場合、動画部分は必然的にブック(「おふろにはいろう」解説参照)となるわけですが、
ここでは、前作で開発(?)した切り絵-弱粘着糊固定法(「おふろにはいろう」解説参照)を活用し、
キャラクターの動きにかなり自由度を持たせています。

作品中の実写の背景は全てスチール写真を用いています。
実際に8ミリカメラを持ち込んで撮影した実写のシーンはありません!
一部、背景が実写のように動いている部分もありますが、
それは実際に スチールカメラで何枚も撮影したものをコマ撮りしているのです。
また、動きの速い列車や、洗濯機などは、
当時富士フィルムから発売されていた、連写できる写ルンです=「写ルンですGOLF」で動きを撮影し、
その写真を1コマずつ撮影しています。
「写ルンですGOLF」で撮った写真は、サイズがかなり小さいもので
(ふつうのパノラマ写真が8等分されていると考えていただければ良いと思います)
これを動画にするには、拡大しなくてはなりません。
そのために、ここではカラーコピーを用いて拡大し、動画としています。
こんなことですから、作品に用いた写真の数もそれなりになり、
確か36枚撮りフィルムを5本くらい消費したような記憶が。

本作で使われている町並みは、殆どが札幌市内や、北大構内ですが、
商店街などは、作品のイメージに合う下町の雰囲気を持った狭い路地が札幌には無いため、
学会で東京に行った時に、ついでに板橋区の”あけぼの商店街”で早朝に撮影しました。
というわけで、作品中にはいろんなロケ地が登場します。
探してみるのもおもしろいかも。でも全然おもしろくないかも:-p

あと、本作に出てくるお地蔵さんは、山の中にある古ぼけた石像(実写)から化けて出てくる設定なのですが、
この石像、私がその辺で拾った石をむりやり石像っぽく作り直したて撮影したというシロモノです。
あと第4話で「犬」が出てくるのですが、この犬も、私が紙粘土でムリヤリ作り上げたシロモノです。
これらのシロモノ、私の造型センスゼロっぽさ爆発です。
まったく困ったもんだ。

他にも撮影ミスとか、結構穴だらけの作品なんですが、ま、そこはそれとして無かったことにしましょう
(いいのか?)

なお、この作品、私が修士課程2年の時に、実験の合間を見計らいつつ作ったヤツでして、
研究で疲れたカラダを引きずりつつ、土日になるとカメラを引っぱり出して製作したものです。
当時は地獄さながらでしたが、今となってはいい想い出…と思いたいトコロです。

で、私にとっては札幌在住時代での、最後の作品となってしまいました。
〜主な外部上映履歴〜
内容紹介!

(左)こんなタイトルです。
(右)時は9時6分をまわりました
(左)ここでは第2話「お洗濯washingのまき」をお送りします
(右)場所はどっかのマンションです。この中に
(左)お地蔵さんがなにかを覗いていますね〜
(右)洗濯機のようです。なかでウンウン洗濯物がまわっています。
(左)覗き込みますが…
(右)頭が重すぎるんですかアンタ。
(左)ボチャンと落ちて左回り。さすが二槽式洗濯機
(右)なんとか回転が止まったみたい。
 グリングリンになってお地蔵さん這い上がってきました
(左)…が、つい手が滑った。重すぎるぞお地蔵さん
(右)今度は右回りにグリングリン。さすが二槽式洗濯機(終)

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